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更紗語の自動詞と他動詞の対応に関する考察 #8

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koridentetsu opened this issue Jan 10, 2023 · 10 comments
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更紗語の自動詞と他動詞の対応に関する考察 #8

koridentetsu opened this issue Jan 10, 2023 · 10 comments

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@koridentetsu
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@koridentetsu
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日本語には「助ける」-「助かる」や「尽きる」-「尽くす」のように、自動詞と他動詞が母音交替しているものが多く見られる。同様の機構が更紗語にもあると考えられる。

@koridentetsu
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koridentetsu commented Jan 10, 2023

日本語では、このような組合せは一方が一段動詞(母音語幹動詞、上一段or下一段)、他方が五段動詞(子音語幹動詞)となっている。
このため母音語幹動詞と子音語幹動詞の起源を考える必要がある。

@koridentetsu
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日本語の場合、四段(ラ変ナ変を含む)・上一段・上二段・下二段に関して、原始語幹に-iという動詞化語尾をつけると全て連用形を生成できるという考えが存在する。子音語幹の四段と、語幹が-iである上一段は当然であるが、上二段も原始語幹が-u,-o,-əだったところにiが接続すれば、母音融合でイ段乙が生じる。下二段については、原始語幹が-aだったところにiが接続したならエ段乙が生じる。原始語幹という考え方をおくことは胡乱かもしれないが、動詞の連用形の生成を「iの接続」という単純な規則ですべて説明できるようになる。

@koridentetsu
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更紗語の場合、同じく母音の数は5なので子音語幹動詞はやはり五段動詞。
一方、母音語幹動詞は -a幹 と -o幹 の2種類がある。

@koridentetsu
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koridentetsu commented Jan 10, 2023

まず先にo幹について考えてみる。

@koridentetsu
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koridentetsu commented Jan 10, 2023

二重母音の融合でoになるということは、*au あるいは *ua の可能性がある。どちらにしても、二重母音語幹動詞と考えたいところである。
現想対称性という観点からすると、*au を再構した結果から演繹して得られる結果と、*ua を再構した結果から得られる結果の、どちらの方が「より現想対称性に適うもの」であるか、を検討する必要がある。

@koridentetsu
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まず *au 説を考える。さてpore「肥える」は自動詞であるから、派生させた先は他動詞である。更紗語で「する」はfureであり、そのことも考慮すると、poreに対応する他動詞はpafeとなりそうである。
次に、底一段の他動詞sugyore「横にする」を考える。同じように考えると、これに対応する自動詞はsugyareかsugyeのどちらかになる。「助かる・助ける」のようになるならばsugyare、「立てる・立つ」のようになるならばsugyeとなる。
もっとも前者の場合、sugyareという語形の場合は五段に活用する可能性もあるが、頭一段に活用することもありそうに見える。

一方で頭一段はどうであろうか。語幹の母音はaである。二重母音が融合してaになる組合せは更紗語では作り得ない。従って、頭一段は祖型の時点から *a を語幹とする単母音語幹動詞だったという結論にならざるをえない。
更紗語の頭一段はずっと *a だったことになる。

さて日本語の場合、四段(ラ変ナ変を含む)・上一段・上二段・下二段に関して、原始語幹に-iという動詞化語尾をつけると全て連用形を生成できるという考えが存在する(大野晋説による)。子音語幹の四段と、語幹が-iである上一段は当然であるが、上二段も原始語幹が-u,-o,-əだったところにiが接続すれば、母音融合でイ段乙が生じる。下二段については、原始語幹が-aだったところにiが接続したならエ段乙が生じる。原始語幹という考え方をおくことは胡乱かもしれないが、動詞の連用形の生成を「iの接続」という単純な規則ですべて説明できるようになる。

一方、更紗語の場合。底一段の祖型が *au だとするなら、日本語において仮定した-iのような動詞化語尾は、-uにしなければならない。一方、五段活用の連用形は-aである。何かの語尾に-uをつけるとaを生じるという変化は、やや無理があると思う。

@koridentetsu
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次に *ua 説を考える。この場合、pore「肥える」に対応する他動詞は、同様に考察するとpufeとなりそうである。
*ua 説の場合、動詞化語尾は-aということになる。従って、原始語幹が-aだったものにa-という動詞化語尾が接続して、頭一段活用が生まれたと解釈できる。また、子音語幹の活用の場合、当然にa-が接続すれば連用形を作りだす(更紗語の五段活用はaが現れる)。原始語尾が-iや-əだったところにa-が接続した場合がどうなるかには検討が必要だが、いずれにせよ *ua 説ならば、更紗語に想定されている「五段(子音語幹)」「頭一段(a幹)」「底一段(o幹)」の3種の活用の起源を「aの接続」ですべて説明できる。ただし、「行く」を表す動詞の活用について再々検討が必要になる。

@koridentetsu
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「行く」に関しては、連用形がne-なので 表2の形式では *ua 説と整合しない。そこで表3のように改訂することで整合性を取る。
なお、仮定形は活用の種類に関わらず全てuが現れるのでここはいじらない。

@koridentetsu
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上記の説を成り立たせるためには口蓋化と円唇化の有無による対立があることと整合性を持たせる必要がある。既にporeのような動詞が設定されている。poreはporeであって、pworeではない。
口蓋化や円唇化による音韻対立が祖語の時点で既に根付いていたと想定するのがよいのではなかろうか。
更紗祖語の母音体系は、aiəeuoの6母音体系を想定しているが、それより1つ古い体系では、後に口蓋化と円唇化の起源となる母音があった、ということにすればそれを説明できそうである。(キリル文字の軟音記号・硬音記号が、古代教会スラブ語では母音を表していたことを考えると、それほど無茶な仮説ではないであろう)

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